工場の建て替えを検討し始めたら、事業計画の立案と予算の策定をしましょう。工場建替えの初期段階で検討すべきポイントについては、下記の記事で詳しく解説しています。
ここでは工場建替えの予算を策定するにあたり、検討すべきポイントを解説します。
工場など法人施設の建替えや建設について相談先・依頼先をお探しの方は、「事務所・工場・店舗の建築企画・設計・工事監理」のページもあわせてご覧ください。
目次
工場の平面と高さ計画を検討する
まず最初に検討すべきは、建物の概要です。具体的には平面的な広さや、建物の高さです。
平面計画は、現在の工場にある設備を配置するための広さや、事業拡大に伴う設備の拡充などを見越した広さを確保するべきか、などを検討します。
単純に設備スペースの確保だけでなく、導線を広く確保することによる作業効率化など、新しい工場に取り入れる平面的な計画をまとめていきます。
次に建物の高さを検討していきます。例えば大きな貯蔵タンクがある場合には、高い空間が必要ですし、設備の更新時にスムーズな入れ替えができるような配慮もすべきかもしれません。
材料の運搬や商品の出荷する際に、トラックの高さや荷台レベルとフラットな工場など、必要な高さ寸法を整理します。
工場の空間に適した工法を選ぶ
次に検討すべきなのは、建物の工法です。工場に求められるのは、できるだけ柱や壁が少なく、見通しの良い大きな空間を作れる工法でしょう。
工場建替えに使われる工法としては、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造が代表的です。どの工法でも工場を作ることは出来ますが、工場のような生産施設には工期のスピード感と経済性が求められます。
鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造は鉄筋を組んでからコンクリートを流し込むための型枠を立てて、流し込んだコンクリートが固まるまで、次の作業に入れません。強固な構造ですが、工期は長くかかってしまいます。
木造
戸建て住宅によく用いられる木造でも、工場を建替えることは可能です。木造の材料は安価で、工期も比較的短くすることが可能です。ただ木造は構造の強度を筋交いなどを入れた耐力壁をバランスよく入れる必要があります。また木造の柱の間隔は、5m程度が限度ですので、鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べると、柱が多くなってしまいます。
鉄骨造
鉄骨造は、工場で用意された柱や梁を現場でくみ上げていくために、短い工期で建てることが可能です。また柱の間隔も、40m程度を飛ばすことも可能な工法もあり、無柱空間を作るには適しています。
国交省の統計にみる工場建替えに適した鉄骨造の施工単価
工場建替えに影響が大きいのが、工事費です。正確な工事費は完成した設計図を施工会社が見積をして初めてわかるものですが、おおよその概算工事費は面積と施工単価から目途をつけておきましょう。
国交省が発表する「建築物着工統計」には、工法別や用途別の着工数とおおよその工事費がまとめられています。これをもとに、工法別の施工単価を見ていきます。
平成30年度の統計によれば、工場用途で建てられた建物数は8,387棟だったようです。工法別の棟数を見てみます。(統計にある工事費の合計を床面積の合計に割ったもの)
・鉄骨造 :7,097棟(84.6%)
・木造 :1,012棟(12.0%)
・鉄筋コンクリート造: 134棟( 1.5%)
上記の工法別の特徴を見ていった通り、工場には鉄骨造が適していることが着工数に表れています。同じ統計に載っている施工単価を見ていきます。
・鉄骨造 :20.2万円/㎡
・木造 :13.4万円/㎡
・鉄筋コンクリート造:25.1万円/㎡
建物の内容が1つずつ異なるので、単純に工事費を床面積で割った施工単価を比べることは本来は難しいのですが、参考までに算出してみました。これを見ると、柱の間隔を広くできて安価な工法として、鉄骨造がバランスの良い適した工法であることが分かります。
この㎡単価でそのまま建築可能であるかは施工会社に相談が必要ですが、工場建替えを社内で検討する段階では、この単価に想定する床面積をかけ合わせることで、おおよその概算工事費をつかむことが出来ます。
金融機関に相談し資金計画を立てる
おおよその概算工事費をつかんだら、それを実現するための資金計画が必要です。会社に潤沢なキャッシュがあれば別ですが、多くは金融機関からの融資を用いるでしょう。
金融機関に融資を相談するためには、事業計画と建築計画が必要です。工場を建替えることにより事業にどのような影響があるのかをまとめましょう。事業拡大や継続のために工場の建替えが必要であることが理解されれば、金融機関から融資を受けることが出来ます。
事業計画や建築計画が整っていても、キャッシュや融資による資金計画に目処が立っていなければ、実現することは出来ません。当社にご相談に来られた会社で、さまざまな計画を比較検討した後に、金融機関に融資の相談に行ったところ、想定を遥かに下回る額しか融資を受けることが出来ないことが判明し、建替え計画を断念したケースもあります。
建物と資金の両面から計画を立てる
工場の建替えを検討するにあたり、いくらかかるのか分かりにくいものです。施工会社に相談しても、具体的な計画や図面がないと見積もり出来ないと断られることもあるでしょう。
概算工事費を把握しないと、事業計画や資金計画が立てられません。上記にある建物に求める広さや高さ、工法をイメージしながら、統計にある施工単価からおおまかに算出する方法もあります。
長沼アーキテクツでは、工場建替えを検討する会社や経営者をサポートした実績があります。事業計画を立て、建物計画に落とし込んで、それを実現する資金計画までサポート致します。ぜひご相談下さい。
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