会社経営者が商品を生産する工場を建設するためには、必要な設備や仕様、建物の規模、建設する土地など、さまざまなことを検討しなければなりません。
しかし最初に検討すべきは、それらを成立させる資金計画を立てることではないでしょうか。
自己資金が潤沢な会社は別ですが、一般的には融資など社外からの資金調達を考える必要があります。
資金調達の方法として「出資」「補助金」「融資」の3つを、以下の記事では考えていきます。
工場など法人施設の建設について相談先・依頼先をお探しの方は、「事務所・工場・店舗の建築企画・設計・工事監理」のページもあわせてご覧ください。
目次
出資の見返りとしての株式発行は慎重に行う
出資とは「事業の成功を期待してお金を出す」ことです。出資者は「個人」「他企業」などが考えられます。
出資者は資金を提供する代わりに、会社が利益を得たときにはリターンを得る権利があります(株主配当など)。
また利息を支払うだけでなく、出資額に合わせた株式を発行する場合には、株数による議決権の行使など、会社経営にも影響を与える可能性があります。
工場建設の資金となると、大きな資金が必要になりますので、その全部を他企業の出資で賄うとすれば、大きな株式比率を占める可能性もあり、慎重な検討が必要です。
補助金を受ける条件と審査期間を確認する
自治体によっては企業誘致を目的とした、工場建設や増築、設備投資への補助金や税制優遇などを行っています。工場が立地する自治体にこのような制度があるか、調べてみると良いでしょう。
もし制度がある場合には、その条件に合致するか確認が必要です。費用の~%を上限にしていたり、新たな雇用が発生することを条件にしている自治体があります。
自治体から補助金を受けるためには、詳細な審査があります。長い審査期間がかかることが多いので、工事や使用開始のスケジュールを考えながら、早めの申請や事前相談に着手しましょう。
融資を受けるために金融機関に資料を提出する
企業の資金調達の最も一般的なものとして、金融機関からの融資があります。融資金の使用目的に合わせて、設備資金と運転資金がありますが、工場建設は設備資金での借入となります。
融資の手続きの流れとしては、まず工場建設計画図とそれをもとした工事見積を用意し、工場建設後の事業計画書、現在の経営状態が分かる決算書等をまとめて、金融機関へ提出します。
金融機関は提出された資料をもとに、工場建設への融資による投資が、有効なものであるか、事業計画を精査していきます。
工場建設後の商品生産量の増加とそれによる売上増加が見込まれない、投資に見合わないという結論になれば、金融機関からは融資額の減額もしくは計画の中止になる可能性もあります。
概算見積もりに予備費を見込む
融資だけでなく、出資や補助金を申請する際も同様ですが、金融機関等に提出する資料は慎重に検討が必要です。特に気をつけるべきは、工事費の見積もりです。
計画がすべて固まっていない段階で、施工会社へ工事費の見積もりを依頼することになるため、概算見積もりにならざるをえません。しかし金融機関からすれば、提出された工事見積額で工場の建設が可能と判断し、融資の可否を審査しています。
もし工事途中での不測の事態により、追加工事費がかかることになっても、金融機関によっては融資額の増額を認めないケースも見られます。よって予備費を概算見積もりに含めるか、それを賄う自己資金を用意しておいたほうが良いでしょう。
工事期間中の資金繰りに注意する
工場を新たに建設する場合には、会社経営者だけでなく担当従業員も、建設プロセスに時間を取られることになります。その分、本業にかける時間が減り、売上が減少しないような、人員配置等を考える必要があります。
また工場を増築もしくは建て替える場合には、既存の生産ラインへの影響があります。生産量をキープしながら増築工事ができるか、また建て替える場合には仮設工場の準備と生産性の確保を考える必要があります。
工場建設は大きな投資なので、本業に影響が少なからずあります。工事期間中の売上や資金繰りなど、注意が必要です。
精度の高い資金計画をつくろう
工場建設という大きな投資をするためには、建物の規模や仕様はもちろんのこと、それを実現するための資金計画が大切です。
資金調達先への説明する資料として、資金計画や建設計画を精度良く作る必要があります。
建設費の追加費用の発生や、工事期間中の資金繰りなど、不測の事態に対応できる予備費を見込んだ計画にしましょう。
長沼アーキテクツでは、工場建替えを検討する会社や経営者をサポートした実績があります。事業計画を立て、建物計画に落とし込んで、それを実現する資金計画までサポート致します。ぜひご相談下さい。
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