このプロジェクトは、お客さま夫婦が意中の土地を見つけた段階で、長沼アーキテクツに設計の依頼を前提として相談に来ていただいたことがきっかけではじまったプロジェクトです。
意中の土地購入前に、私たちが計画や建築法規の観点から調査・検討した結果、お客さまの要望を満たせる土地ではないことがわかりました。再度の土地探しを行うにあたり、長沼アーキテクツも一緒に探して欲しいとの依頼を受けて、「建築とお金デザイン」一括でのご依頼をいただきました。
土地建物の資産性を確保しつつも、夫婦の趣味のための広さも確保したいというお客さまの要望を実現できるよう、創造系不動産との協働を通じて、ライフプランの作成や土地探しを支援し、お客さまのご要望を最大限活かした家づくりを実現いたしました。
お金デザインのポイント
POINT01家族会議型ワークショップでライフプランを作成
ワークショップ形式でライフプランの作成を行いました。自己資金に余裕のあるお客さまで、ローンも合わせると大きな金額を借りられる可能性のある方でしたが、家族の将来を考えていま本当に借りていいのはいくらなのか、家族の価値観をライフプランに落とし込み、将来を踏まえて算定しました。
にぎやかな家族会議のような雰囲気でライフプランを作成するなかで、お子様の教育費のピークがご主人の定年間際に来るため、キャッシュフローを注意する必要性など思わぬ発見がありました。普段から円滑なコミュニケーションを取っているご家族でも、将来のことをじっくりと話し合う機会は意外とないことも多いものです。
POINT02ライフプランを踏まえた土地探しを粘り強く実現
このお客さまは、資産性を保ちつつも、ご夫妻の趣味のための広さにもこだわりがあり、なかなか条件に合う立地の絞り込みや土地探しが進みませんでした。
私たちは土地探しを創造系不動産と協働するとともに、候補としてあがった土地の購入前に、事前にヒアリングした要望が実現できるかを具体的な計画に落としこみ、土地購入リスクを最小に押さえるよう支援いたしました。
お金デザインのプロセス
POINT03土地探し時に売主も把握していなかったリスクを建築士の目線で発見
土地探しにおける最終段階で、建築の専門家の視点から購入前に可視化されていなかったリスクを発見し、お客さまの購入リスクを未然に防ぐことができました。
この土地は、現地を確認した限りではお客さまのニーズを満たしていましたが、建築基準法等の法規制を確認すると売主も把握していなかった不明確な点がありました。
このプロジェクトにおいては土地が道路に接する「接道」という法的制限について
- 見た目上道路ではあったが、法律的な道路の要件を満たしている範囲が限られていたこと
- 現状道路と行政の位置指定道路図が異なり、計画に影響を与える可能性があったこと
- 主要道路と反対側にも道路があったが、法的には接道していなかったこと
こうした不動産購入契約前にリスクを発見し、土地購入前に行政に計画の可否をヒアリングし、売主にこうしたリスクを販売価格に織り込んだ価格の見直しをするなど、お客さまの立場に立ち、安心して土地購入を行えるようサポートいたしました。
建築デザインのポイント

POINT01夫婦の趣味のスペースを活かせる建物プランを実現
土地を探す段階から重視していた点が、ご家族で2台の自動車と3台の自転車、さらにご主人の趣味であるバイクを置くスペースを確保することでした。そのため約60坪程度の広い土地を探し購入することが出来ました。
ほぼ正方形の敷地に対して、建物はL字型に南東に開くように計画しました。これにより自動車や自転車などの駐車スペースを確保しつつ、建物に自然光が入りやすい配置を採用しました。
また奥様の趣味である着物の着付けを行うために、1階玄関の隣に和室を設けました。和室とLDKは屋外デッキでつながっており、和室とLDKの掃き出し窓を開けると、行き来ができるようになっています。また和室は玄関の隣にあるため、客間としての使用も想定しています。

POINT02広いLDKが暗くならないよう中庭からの明るさを実現
屋外の庭や駐車スペースを確保しつつ、建物への採光を考え、南東側に開いたL字型の建物としました。広いLDKの場合、奥にあるキッチン廻りが暗くなることが多いのですが、この建物では南側がほぼ全面ガラスになっているので、屋外デッキを通して、中庭からの採光や通風を取り入れることが出来ます。
LDKの前には屋外デッキを室内と同じ高さで設け、LDKからストレスなく屋外デッキに出ることが出来ます。また屋外デッキの前は、庭や駐車スペースになっているので、お子様が庭で遊んだり、買い物から帰ってきて車から荷物を室内に運び入れる際に、屋外デッキからLDKに入ることも出来ます。
POINT03建物の資産性を高める最高品質の住宅を実現
この建物は「木造SE構法」を採用しています。木造SE構法のメリットとしては、耐震性を確保しつつ部屋の中央に柱を建てずに広い部屋を実現できることがあります。今回は広いLDKとしつつも高い耐震性(耐震等級3)が求められましたので、木造SE構法を採用しました。
SE構法だから実現できた高い耐震性能である耐震等級3を取得
耐震等級は1から3まであり、3が最高となります。耐震等級1とは建築基準法で求められる耐震性を指し、耐震等級2は1の1.25倍の耐震性、耐震等級3は1の1.5倍の耐震性を示しています。耐震等級1で極めて稀に発生する地震(阪神淡路大震災のような震度6強や震度7程度)に耐えられる強度を想定しており、耐震等級3ですとこれらの1.5倍の地震力が建物にかかっても倒壊や崩壊をしないことを示しています。
耐震等級3を取得している建物であれば、仮に震度7の地震が来ても、倒壊や崩壊をすることはほぼ無く、多少の補修をすることで住み続けられることが可能です。住人の命を守るシェルターとしての機能を得ることが出来ると言えます。また副次的なメリットとしては、地震保険が一般より50%の割引で加入することが出来ます。
高いメンテナンス性と省エネ性能を実現し、長期優良住宅認定を取得
この建物の資産性を高める取り組みとしては、長期優良住宅認定を取得していることです。長期優良住宅は耐震性だけでなく、建物の維持管理のしやすさなども評価項目となっています。耐震等級は2以上が求められますので、この建物は等級3によって十分にクリアーしています。また維持管理については、建物内の設備配管の点検や将来の交換のしやすさなどに配慮しています。
長期優良住宅の認定を取得すると、耐震性が高く、将来の維持管理にも配慮されたことを第三者にも示すことが出来、建物の資産性を高めます。また住宅ローン控除の額が割増されるなどのメリットもあります。
お客様からの声
長沼さんがいなければ完成までたどり着けませんでした!
土地を探す段階から長沼アーキテクツさんに相談しました。土地を一緒に見ながら、ここに建つ住宅のイメージを聞かせてもらえたので、安心して土地を選定することが出来ました。建物の設計が始まるころには、住宅のイメージが共有できていたので、設計の打合せはとてもスムーズに進めることが出来ました。また資金計画も合わせて相談できたので、お金の面でも安心できました。

基本情報
- 建築主
- 個人(ご夫婦+お子様1人)
- 資金
- 土地2,000万円+建物3,800万円
- 所在地
- 東京都八王子市
- 用途
- 専用住宅
- 仕様
- 木造(SE構法)地上2階建て、長期優良住宅
- 敷地面積
- 183㎡
- 延床面積
- 127㎡
プロジェクト体制
- お金デザイン
- ライフプラン・ファイナンシャルプランニング…創造系不動産+長沼アーキテクツ
土地探し…創造系不動産+長沼アーキテクツ
- 建築デザイン
- 設計・工事監理…長沼アーキテクツ
工事…ミューズ
プロジェクトのプロセスや完成写真





