東京都渋谷区のマンションをフルリノベーションした住まいです。「購入したマンションを明るく開放的な空間にしたい」ということでご相談いただきました。主なご要望は以下の通りです。
・間仕切りの少ない、大きなLDKを作りたい
・夫婦それぞれの理想的な空間を設けたい
・自然素材をできるだけ利用した健康的な住まいにしたい
明るく大きなLDKとこだわりの空間がある家を健康的な自然素材で……。綿密な打ち合わせと大胆な間取りの変更でご要望を実現しました。
このプロジェクトのポイント
POINT01大空間のLDKを実現するための間取り変更
お客様の一番のご要望は「薄暗いLDKを明るく大きな空間にしたい」というものでした。このご希望を叶えるために考えたのが、思い切った間取りの変更です。
リノベーション前の間取りは玄関から廊下を進んだ左側がLDK、右側が個室という一般的なものでした。廊下がある分だけLDKの広さに制限があり、バルコニーから入る陽光も限られていたのです。
そこで壁を取り除くことでLDKと個室をつなげ、一つの大きな空間をつくりました。こうしてできた新たなLDKの広さは約40畳。バルコニーに面した窓から入る大量の陽光で、電灯をつけなくても明るさのある開放的な空間を実現しました。
マンションのリノベーションというと、「変更できるのは壁紙やタイルの色・素材ぐらいで、間取りの大きな変更は難しいのではないだろうか」と不安になりがちです。実際にはそんなことはありません。マンションの骨格であるコンクリートを削るような工事でない限り、大胆に間取りを変更できるのがリノベーションの魅力です。
POINT02夫婦それぞれのこだわり空間を実現
お客様ご夫婦には、内装にもこだわりがありました。奥様のご要望は住まい全体をホワイトで統一すること。LDKやバスルーム、パウダールーム、ランドリールームといったパブリックスペースから、奥様の個室や隣接するウォークインクローゼットといったプライベートスペースまで、すべてのものをホワイトでまとめあげました。
また、微妙な色味の違いも逃さないため、「1素材1ホワイト」を原則にしました。木製の家具であれば、どの部屋のものもすべてがまったく同じホワイトになるように。タイルであれば、家中のどこに貼ったものもすべてがまったく同じホワイトになるように……といったように配慮しました。
そのためには、家具や建具の発注先を統一しなければなりません。たとえばキッチンの収納棚とパウダールームの収納棚は別の業者に発注するのが一般的です。ところが、製作する工場が異なるためか、同じ色番のホワイトを指定しても色味に微妙な差異が出てしまうことがあります。そこで同じ職人に製作を依頼することで、家全体のホワイトに統一感を出すことができました。
ご主人のご要望は、アメリカニューメキシコ州にある街「サンタフェ」をイメージさせる個室を持つことです。サンタフェの建物の特徴はハンドメイド感のある塗り壁。壁の色むらや角の丸みを残すことで、独特の雰囲気を実現しました。
POINT03見えない部分の素材にもこだわり健康に配慮
お客様には、実家のリフォームをした際に使用された塗料のにおいが気になってしまい、生活の質が低下してしまったという経験がありました。
実は「シックハウス症候群」が問題になって以降、建材メーカー各社は国が定めるもっとも厳しい基準をクリアした建材を開発しています。しっかりとしたメーカーが販売している建材であれば、有害な物質が含まれている可能性は極めて低いと考えて差し支えありません。
しかし、お客様の事情も踏まえ、今回のリノベーションでは塗料だけでなく家具や建具、壁紙に使う接着剤にいたるまで、あらゆるものに可能な限り自然由来の素材を使うことで健康に配慮しました。
基本情報
- 建築主
- 個人(ご夫婦)
- 資金
- 建物5000万円
- 所在地
- 東京都渋谷区
- 用途
- 専用住宅
- 仕様
- 鉄筋コンクリート造
- 敷地面積
- –
- 延床面積
- 164.74㎡
プロジェクト体制
- 設計・監理
- 長沼アーキテクツ株式会社、ファイブス一級建築士事務所
- 工事
- 株式会社大熊工業